魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
驚愕し過ぎて涙も出ない。
入り交じりすぎて、訳が分からなかった。
私はこれまで“特定の誰か”と決めつけていたが“誰か”は“皆”だった。“誰か”を突き止められないのも毎回“誰か”が違うからだ。信じたく、ないな…。
そして今私が走っているのには、理由がある。
「っはぁはぁ…」
本当なら私ではなく紗枝ちゃんが行く筈だった場所へと、ひたすら足を走らせる。
『紗枝から聞いたことだ。』
幹久先輩に聞いたことが、脳内でリピートされる。
はやく、行かないと――――‥