魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−





「紗枝は凛先輩の妹が良いです!鬼みたいなお兄の妹じゃなくて、優しくて清らかな凛先輩の妹に生まれたかったです!」

「あれ?でも紗枝ちゃんは2年生になりたいって言ってなかった?」

「紗枝は1年生です!凛先輩の妹ポジションは誰にも譲りません!」

「ふふ。」





わざとらしく聞いた凛に、紗枝はムッとして言った。どうやら漸く“同学年のお友達”より“1年生の後輩”の方が可愛がられることを理解したらしい。





「あ!凛先輩!この卵焼き食べてみて下さい!今日はちょっと甘めにしてみたんです!」





まるで好きな男子生徒にお弁当を作って来た女子生徒みたいだ。キラキラと目を輝かせ凛の食べる姿を見つめている紗枝。


この場合男子生徒役は凛になるが。本当に自分に懐いてくれている紗枝を純粋に嬉しく思った。






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