魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
“ウゥ〜”“ウゥ〜”
パトカーのサイレンが鳴る。徐々に近寄ってくるサイレン。そして大勢の人影。警察官の制服を身に纏った大人達。次々に押し寄せてくる何台ものパトカーに目もくれず、凛はただ、目の前に居る彼等をぼんやりと眺めた。
一人の男性が肩膝をつくと“弟”に警察手帳を翳す。そして事務的な声色で告げた。
「連続暴行事件関与の疑いで署まで御同行願います。」
「止めろ!離せ!僕は凛とっ!凛と一緒になるんだ!凛っ!りん!」
暴れる“弟”を警察官は押さえつける。伸ばされた手を掴もうとはしないで揺れる瞳で見つめた。
叫ぶ“弟”と必死に制する警察官の光景を。“弟”は狂ったように声が枯れてまで叫び続ける。
「凛は僕のものだ! りんは 僕の名前 だけを 呼べばいい! その鈴は 僕だけの ものだァぁア! 僕 と りん の 邪魔 ヲ スル 奴 ハ 死ネェェェェエ!
ぐ、 ゔ あああ゙ぁぁああ゙あああああ゙ああ゙! りん゙!凛! 」