魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
第19話
純粋ゆえに歪む愛
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パトカーに乗せられた彼等は、凛の家に遣ってきた。
小雨は大雨に変化を遂げ、車の窓を激しく叩き付ける。
数十分して着いた我が家に、凛は酷く懐かしさを感じた。
警察官のひとにドアを開けて貰い覚束無い足取りで車を下りる。
足が震え、よろけた凛を支えようとした警察官――――の手を払い除ける響。
「触んな。」
「す、すみません。」
啖呵を切って凄まれ警察官は一回り以上歳下の響に頭を下げた。
凛は響に支えられながらチャイムを鳴らした―――途端、ドタドタと聞こえる足音。そして開かれたドアから顔を出したのは凛の母親だった。