魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
精液は雨で流されたものの、充血した目とびしょ濡れの姿を見て、母親は目を見開いた。顔面蒼白で震える娘を見て母親が真っ青になる。
凛は響の腕から離れ、母親の胸に抱きついた。倒れ込んでくるようにして引っ付く娘を母親は、抱き止めながら狼狽える。
「り、凛?どうしたの!?」
肩を揺さぶるものの返答はなし。立ったまま気絶してるんじゃないかと思うくらい娘は静かだった。しかし小刻みに震えているため、意識があることは分かる。
あたふたする母親を見て響は話し出す。もちろん分が悪いことは省き、所々端折(はしょ)り、大まかに“弟”が仕出かしたことを説明した。