魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−





「凛先輩!何か落ちましたよ!」





紗枝がその四つ折りにされた紙を拾う。


一体何の紙か不思議に思った紗枝が、それを凝視する。それを見た凛は少し焦り気味に紗枝から紙を奪う。





「あ、な、何でもないの。」

「………」

「ほ、ほら。もうすぐ授業始まるから行こっ。」

「……はい。」





平常心を保ちながらも冷や汗は止まらない。目を明後日の方に向ける凛は知らなかった。


このとき、紗枝が今までに無いくらい冷たい瞳をしていたことを―――…。
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