魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−





背を向けたとき“ガチャ”と扉が開く音がした。音に引かれるように響はゆっくり振り返る。


その扉から姿を現したのは…





「………オメエは確か、」





凛の家から出てきた奴に目を見開く。それは向こうも同じで数秒間見つめ合う。響はコイツが凛の家から出てきた事に眉根を寄せたがそれも当たり前だと気付くと、あからさまに顔を歪めた。





「お久しぶりです。」





目の前にいる男は凛の“弟”だった。何も凛から直接紹介されたわけではないが、大分前にも凛の家から出てきた“弟”を不審者だと思い問い詰めた事がある。そしたら“弟”は“弟”だと名乗った。
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