魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
「消す、か―――?」
イヤ。駄目だ。アイツは曲がりなりにも“弟”だ。凛に嫌われるのは避けたい。消すなら徹底的に、そして確実に、だ。
“アイツ”が居たらどう考えるだろう。と響は頭を捻る。そう言えば“アイツ”は悪知恵がよく働く男だ。しかし“アイツ”は今現在入院している。
「ったく。使えねぇヤツだなぁ〜。」
自問自答を繰り返す響。煙草を口に加えた後火を付ける。揺らめく紫煙を見ながら、込み上げる魔の感情を落ち着かせた。そして、またもやニヒルに口角を上げる。
「――――じわじわ、追い詰めてやろうじゃねえの。」