魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
―――…直にBGMが流れ出す。
今日の音響は彼女だ。彼女らしい優しい歌が機械を通して流れている。それと同時に足を止めていた生徒は歩き始め、会話を中断していた生徒達は雑談に耽る。
彼女の美しい声が聞こえないアナウンスに興味はない生徒達。彼女の声が美しい聞けるから校内アナウンスに価値がある。
校内には徐々に騒がしさが戻っていた。ガヤガヤと喧しい声が廊下に響き渡り校門付近には人集り。
彼女に言われた通り、速やかに帰る支度をし始める。まさに鶴の一声。教師の言い付けより彼女の言葉を優先する生徒は多い。
そんな、とある県立高校の放課後の風景。