魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
「…あの、紗枝ちゃん。」
「はい!」
「…このスイートポテトはこれだけしかないの?」
「そうですよ?あっ、もしかしてもっと欲しかったとか思ってくれてますか!?紗枝、嬉しい!でも残念ながらただの調理実習なんで数に限りがあるんです…」
テンションが上がったと思いきや一瞬にしてシュンと悄気る紗枝にやはり凛は困った顔をする。
そして悩んだ末スイートポテトを紗枝の前に差し出す。返されたスイートポテトに紗枝はショックのあまり目を見開いて固まる。
「このスイートポテトは幹久先輩に上げて?紗枝ちゃんのお兄さんだと分かったから、目の前で私だけ貰うのはちょっと…」
おずおずと言い『ごめんね?』と凛は謝る。これは兄妹である二人に気を使った決断だった。