魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
しかしこの決断が良かったと思ったのは凛だけ。軽く俯いた紗枝は明るい声で言う。やけに明るい声は不気味だった。声だけが明るく目が血走っていることに気付いたのは―――――幹久だけ。
「大丈夫ですよ〜お兄は芋が嫌いでスイートポテトは食べれないですから!」
「え、そうなんですか?」
きょとんとした凛は幹久に目をやる。
「―……そうなんですよ、」
口角を上げた紗枝は幹久だけに見えるように目を鋭くさせた。
「ねえ、幹久兄さん?」
不気味なほど明るい声で言う紗枝。意義は認めないと目だけで幹久を制する。その声色には凛でさえゾクリと背筋が凍った。訳が分からない寒気に凛は腕を擦った。