魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
「凛先輩!紗枝と帰りましょう!紗枝が家まで送ります!」
「凛は俺と帰るんだ。」
「え〜!?お兄と帰るとかヤダ!凛先輩の家に寄っていったらお兄は遠回りになるんだから先に帰りなよ!」
「お前の方が遠回りなるだろ。」
「……い、一緒の家なんだから。」
二人して、どちらが近いか遠いか以前に一緒の家に住んでることを忘れてはいけない。言い合う兄妹に凛は苦笑いしてしまった。
「とりあえず紗枝ちゃんは下履きに履き替えて来たらどうかな?」
「それもそうですね。待っててくれますか?」
「ふふっ。勿論。」
「なら履き替えてきます!」
ここは二年生の下駄箱。一年生の下駄箱は少し距離がある。だから先に履き替える事を薦めた。踵を返そうとする紗枝―――――は、立ち止まる。