魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−





「――――ん?」





あるものを紗枝は見つけて目を凝らす。それは先ほど凛が落としたもので顔が真っ青になる。それのことが頭から薄れていたのだ。しかし思い出して凛の顔色は悪くなる。





「……なに、これ。」





冷めきった声で呟いた紗枝は小瓶を拾い上げる。


それが何かに幹久は気付いた。隣にいる凛に何やら関係すると察し声を和らげる。しかし目はやはり紗枝と同様、冴えきっていた。





「凛。これ、どうした?」

「……く、靴の中に、入ってたの。」





幹久は小瓶を紗枝から奪い、聞くと凛は肩を震わせた。
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