魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
凛に自分の欲を押し付ける野郎に胸焼けがする。怒りと悋気で紗枝は気が可笑しくなりそうだった。これは必然的に女郎ではなく野郎の仕業。目眩に耐えながら、小瓶を幹久から引ったくる…
「気持ち悪い!悪ふざけにもほどがありますよ!紗枝が処分してきますね!」
そう早口で言って凛と幹久の元から去る。小瓶の行方は紗枝だけが知っている。目が逝ってる紗枝は当分戻ってはこないだろう。
バタバタ駆けていく紗枝の後ろ姿を心配そうに見つめる凛は、幹久に手を引かれる。