魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
アメシストの男の名前は真葵。
最近は姿を現さなかったため、凛は心配していた。凛でなくとも、心配していたかもしれない。幾ら放浪癖があると言っても流石に姿を眩まし過ぎだった。
「何してたの?」
「僕かい?今まで優雅に入院生活を送っていたさ。」
その言葉に凛は驚いた。姿を見せないと思ったら、まさか入院していたとは。
「な、何で?」
「少し油断していただけだよ。」
「……通り魔?」
凛の頭の中には噂の通り魔の文字が浮かぶ。あの真葵が殺られるなんて想像もしていなかった。寧ろ殺られる前に殺るのが真葵だ。