魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
真葵は一体これまで襲われてきた者達と何が“共通”しているのか。
凛は知りたかったが、聞くことに少し不安になった。ポケットの紙のことが気掛かりだったから。
「誰が“無差別”で襲われていると言ったか。凛は到底、無差別とは思えないんじゃないのかい?」
「……う、ん。」
「何故なら襲われている者は君と関わりのある人物ばかりだからだ。」
薄々気付いていた事実。自分には関係ないと知らない振りをしていたが真葵に言われたことで認めざるを得なくなる。
「だから最近は凛がアナウンスなんだろう?」
「…うん。皆入院してるらしいから。」
可笑しいと思っていた。襲われていたのは高確率で放送委員の生徒だったから。何故自分は狙われないのか。それとも“まだ”狙われていないのか。凛はここに来る度にそればかりを考えていた。