魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−





凛でさえ不信感を抱いていたことに気付き、真葵は笑みを深くする。




「僕が君にキスをした日を覚えているかい?」

「え…っ」





サラッと言われて顔が赤くなる。


1ヶ月程前、不意打ちで真葵にキスされたことを思い出す。『忘れかけていたのに…』と凛は顔を赤くして真葵を睨んだ。


しかし次の真葵の言葉を聞いた後睨むのも忘れて呆然とする。





「その後さ。」

「え?」

「僕が襲われたのは。」





目を見開いたまま凛は固まる。


真葵の言い方じゃ、まるで―――――――――私に手を出したから襲われたみたいじゃない。


と凛は目眩がした。
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