魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
真葵の言う通り、彼は凛にキスした翌日何者かに襲われ全治2ヶ月の怪我を負った。
止むを得ず入院していた真葵だがまだ完治してないにも関わらず、昨日退院し、こうして凛に逢いに、学校に来た。
不安になる凛とは裏腹に真葵は役得だと口角を上げた。
「怪我をして得だったさ。死ねばもっと得だ。だって君の心に僕が永遠に刻みこまれるだろう?」
スッと黒髪を掬う真葵。甘くも、狂った目には見慣れてしまった。普通の人より少し変わった感性を彼は持つ。
真葵はどこまでも残酷で目的の為なら手段を選ばない。そんな彼を間近で見てきたため、凛はもう、真葵の目に恐怖を抱かなくなっていた。『慣れって、恐ろしい』と凛はつくづく思った。