魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
「誰からなのかしら?」
「さぁ…」
それは凛が聞きたかった。差出人不明なんてどう考えても怪しすぎる。通販で何かを頼んだ覚えも無かったので更に頭を捻る。
眉を寄せ、腕の中にある段ボールを見つめる凛は『とりあえず、』とリビングを出て階段を昇る。
「呼んだら下りて来るのよ〜?」
「はぁい。」
下から聞こえる母親の声に返事をする。トン、トン、トン、トン、と凛の足音が響く中、段ボールが揺れて時折、ガサゴソ、と聞こえる音に、不安が募った。