魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
「緊張した?」
「……うん。やっぱり人前で話すのは抵抗あるかな?と言っても放送だけど」
「止めたい?」
「う〜ん…任された以上はきちんと遣るつもりだけど私をごり押しする皆の意図が掴めないんだよね、」
パックにストローを刺すとカフェオレを飲みながら不思議そうに首を傾げた。
委員は1クラスに男女1名ずつ。2年C組の放送委員は捺と、この女子生徒。
しかし自らの意思ではなく全校生徒による推薦で放送委員が、この女子生徒に決まった。捺はただの付き添いで入っただけ。
何もこの状態は今年だけではない。昨年も彼女は放送委員だった。予め予想していたため、然程驚かなかったが、やはり拭えない疑問。