魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
段ボールには…
羽が散らばり、 片方の目は抉られ 、 足はなく 、 口を半開きにし 、 翼はもがれ 、 胴体にナイフが突き刺さったままの 、
に わ と り が い た
「おえ…っ…ひっ」
今日食したものを全て吐き出してしまう。凛の目からは生理的な涙がボロボロと零れる。
これが、 これが、 鶏?
凛は嘔吐しながら首を横に振る。信じたくない。信じられないと。しかし自分の手にドロッとした血が付いていることが、夢ではないことを証明していた。
ベットリついた赤い血は、気持ち悪く、更に吐き気が襲う。肌触りも、鶏の死体の血だと言うことも、最悪だった。