魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−





鶏の血で所々見えにくいが写真に映っている少女は紛れもなく――――――凛だった。


ピントは合っておらずそれは俗に言う盗撮と言うもの。血に塗れた自分が怖くて凛は震え上がる。


いつ撮ったのか。


登校中 、 犬の散歩中 、 体育の着替え中 、 うたた寝しているところ 、 図書館に居るとき 、 文化祭のメイド服 、 論文の発表会 、 昼食時 、 野良猫と戯れてるところ 、


全部 、 全部 、 全部 、


み ら れ て い た ?





「―――――ッ!!」





息を呑み、声に鳴らない悲鳴を上げた凛は、直ぐさま立ち上がると部屋のカーテンを閉めた。


怖かった、


今も見られているようで、


ただ―――――怖かった。
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