魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
「凛の声が良いから」
「声?」
「アイツ等は凛の声が聞きたいだけ」
「へえ―――…私の声が聞きたいなんて皆は物好きなんだね?もっと可愛い子の方がいいのに。ミスコンの女の子達とか」
戯れけたように笑うのは、捺に“凛”と呼ばれてた女子生徒。
凛は自分なんかが眼中にある生徒達を面白可笑しく思った。
「そうでもないけど」
「え?」
自分を無下にする凛に捺はスウッと目を細める。
ミスコンの女なんかより凛の方が断然いいと眉を顰めた。――――捺は凛の喉に指を宛がうとゆっくり伝わせる。
「凛の声、すき」
「捺君も?」
「欲しい」
「声を?捺君も随分物好きだね。私の声なんかを欲しがるなんて」
笑う凛に捺は首を横に振った。
「凛が欲しい」