月と蝶との秘密の糸
心で溜息をついた私は、自分がなんだか情けなくなってきた。
重たい話をするのは止めよう。
もうすぐシャイナーが帰ってくる時間。
私はバルコニーの椅子に座り、手前の一番上に置いてある
『愛とは五感で感じるもの』
と言う、いかにも卑猥そうな内容が載っていそうな本に手を付けた。
“愛”
私はシャイナーから“愛”を貰っているのだろうか。
愛なんて…無いわよね?
私達は分かりあう事は無いもの。
いざ本を手にしたが、中々ページを開けない。
「何でこんな本を持ってきちゃったんだろう……」