一夜花
月下美人だって……彼女と二人で眺める夜を心に描いて、今年は特に丹精したのに……。
「お前、アッチのほうは? ほったらかしなんじゃねえの?」
「俺にだってソウイウ欲求はあるし、キライじゃない。『人並み』だったはずだ」
「どうだか……な。お前の恋愛は回りくどいんだよ。女だってしたいんだから、取りあえず会ったらスる。これ、礼儀だろ」
「どこの礼儀だよ」
席から漏れ聞こえる卑猥な会話に、年配のウェイトレスが小さく顔をしかめる。
真昼間の『ファミリー』レストランにふさわしくない内容なのは確かだ。
「もういいよ。自分がもてるタイプじゃないってのは、薄々気がついていたんだ」
親友が向ける憐憫のまなざしをよけようと、浩一は窓の外を見た。
「お前、アッチのほうは? ほったらかしなんじゃねえの?」
「俺にだってソウイウ欲求はあるし、キライじゃない。『人並み』だったはずだ」
「どうだか……な。お前の恋愛は回りくどいんだよ。女だってしたいんだから、取りあえず会ったらスる。これ、礼儀だろ」
「どこの礼儀だよ」
席から漏れ聞こえる卑猥な会話に、年配のウェイトレスが小さく顔をしかめる。
真昼間の『ファミリー』レストランにふさわしくない内容なのは確かだ。
「もういいよ。自分がもてるタイプじゃないってのは、薄々気がついていたんだ」
親友が向ける憐憫のまなざしをよけようと、浩一は窓の外を見た。