一夜花
 窓越しの日差しに曲線的な輪郭を晒す女体。透けるほどに白い肌が一夜花の花弁を思わせる。

「……って、夢見ちゃうほど溜まってんのかなぁ」

 引き戻す手にオンナが縋った。

「夢じゃ……ありません」

「!」

 バランスを崩した体がもつれ、畳の上に転がる。
反射的に伸ばされた腕で守った肌は……

(柔らかい)

 抱きしめた重みと質感が、彼女の存在が現実であることを知らしむ。
きめの細かい素肌はしっとりと手のひらに吸い付き、オトコの全身に荒れ狂う熱情を呼び起こした。

「君は間違いなく、アレ、だよね?」

 欲情を逃そうと目で指した先には、天頂の蕾を不自然に失った肉質の茎が伸びる。

「何故、人間に?」

「私が、願ったから。強く、強く願ったから……」

「何をそんなに願ったの?」

「あなたの側に……今夜だけでいいから、側に……」

……彼女は知っている。自分が一夜限りの花であることを。
知っていながら、『花』としての生を手放そうというのか……
< 6 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop