机の人形
第3章

一人遊び

今、私が一番気に入らない義務にいろいろなところにいってそこでじっとしているというものがある。

私は大勢と一緒にそれをした。

背筋を伸ばして、ぴっちりと指先をのばし、息をつめてじっとする。
ぴくぴくぴくぴく。
少しでもその状態からのがれるように。
周囲は緊張状態をどんどん高めていく。
私はゆっくりとその状態に自分をなじませていく。
ゆるんだ四肢をたゆませて、周りと一緒に座ったりたったり。休んだりする。
いろいろなところへ体を動かし、自分がどこへいっているのかしっかりと確認する。
床や壁に触れ、その場所に触れる。
つるつるとした床、ざらざらの壁。
一つ一つ確認するのに、意識の表面でさっぱりはいってこない。
見開いた目に周囲のものがしっかり映っている。
ふわふわとした床を踏みしめ立つ。
開いた目を閉じると自分がしっかりと立っていることを感じる。
ふわふわした地面が固まり、踏みしめた感触を感じたとたん、弛緩した四肢がぴんと張る。

じっとしていた周囲が動き出すとすっきりとした気分になる。
爽快感と清涼感。
私はそこにとどまり、しっかりと目をあけて動き出す。

すぐに、それは消えてうずくまる。
床も壁もふわふわとしておぼろげだ。
周囲は騒がしく、ぽっかりと何かが消えてしまった。
ゆっくりと壁際により、しばらくそのままの状態ですごした。

たまに、そうする。

自分の意識がはっきりする時間や踏み固まった床の感覚を覚えた後、それ以前のすっきりとした気分は消えてしまった。
ただの遊びなのにと思う。

じっとしていることには慣れていた。
ぴんと背を伸ばし、指の先まで緊張すること。
それは自然で当たり前のことだった。

こんな遊びをたまにしてしまう理由を私はわかっている。

ふわふわとした地面に一向に感じない床や壁の感触。
普段は思い出しもしない。
不快な気分。
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