Fate.LOVER        ~運命の恋人~
夏鳥は一息すると
静かに何かをささやきはじめた

「黒き魂よ、
黒四獣の黒狼のこの身を
知を使い魔力をあやつれ
赤き地をひらき
魔性の闇へといざないたまえ」

その瞬間
足元がぽっかりとあき
私たちは闇へと落ちて行った


「おいおい、ちょっと待てぇぇ―――」

尾崎君の声も小さくなっていった




ほんとに真っ暗で何も見えない

目を開けているのに
何も…

どっちが上かもわからない
ふわふわしてて

宇宙に浮かんでいるような
不思議な感覚


そこに私はひとりで浮かんでいる



「っ…」


ひどい孤独感が私を襲った


「夏鳥っ…夏鳥どこっ…」

私は必死ゆくもりを探す
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