Fate.LOVER        ~運命の恋人~

―――――ドサッ!!!


ちょっとした苦難を
乗り越えた後、
茂みのようなところに
落ちたようだ


私はゆっくりと目を開けた

まぶしい…

まぶしいとは言っても
太陽は出ていない様子

厚い雲が空を覆っている



「和音。」

ぼーっと前を見る私に
後ろから声をかける夏鳥


「…さっきは」

振り返る私


「ありが…って、おお?」

「気にすんな、行くぞ?」

「おおおお、おおかみ!!?
か…夏鳥だよね!??」

「ああ。
ま、俺だけど
こっちではルオンだ」

4本足で偉そうに立つ
黒い狼はそう言った


「魔界では人間の姿で
いる必要がないからな。」

「やば、触ってもいい?」

「は?」

「狼、一回触って
みたかったんだよ!
噛まない?」

「人間界の狼と一緒にするな。
喰ってやろうか?」

「ああ、ごめんなさい…
やめときます。」


夏鳥、いや、ルオンは
普通の狼よりとんでもなく
大きくて、真っ黒な
艶々した毛並み

しっかりしてるのに
しなやかな体

おっきな耳に長い尻尾

迫力半端ない…


私が関心して見ていると
ルオンがさっさと歩きはじめたので
急いでついて行った
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