オトシモノ~君が零した星屑~


どれだけ、私が苦しかったか。


町を歩くたび、子供のはしゃいで笑う声が聞こえる度。


それを母親がたしなめる声がする度――――


どれだけ、虚しい思いをしてきたか。



『あれは、そなたがずっと持ってた人形が、付喪神になった物だ。

まぁ、もう俺が喰ったがな』



無表情でそう言った彼に、なぜ喰ったのか、と突っ込む気力も無い。


おおかた、このまま生かしておいたらまた、私が引き込まれると思ったのだろう。


薄明るく、夕陽の光が部屋に入り込む。


そんな中、張り詰めた空気が私達の間を流れていた。

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