オトシモノ~君が零した星屑~


そんな土方を、ただ見つめている事も苦しくて。


スッと視線を逸らしてしまう。


俯いた私の瞳に映ったのは、木陰で冷たくなった砂利だけではなかった。


――――消えかかった指先に、集まる光の粒。



「土方――――お願い。

最後のお願いが、あるんだ」



自分の手の平を後ろに隠して、土方に語りかける。


グッと目を擦った土方は、何だ、と笑いながら言った。



「何でも、聞いてやるよ」


「じゃあ――――お願いだから、絶対に振り向かないでね」



そう言って、私は土方の背を、トンッと押した。

< 445 / 466 >

この作品をシェア

pagetop