雨が降る日は誰か死ぬ
少し経って、三歳年下の弟の孝之が、びしょ濡れで帰ってきた。


雨で部活動が中止になったらしい。


「ちょっと孝之。アナタ傘を持ってなかったの?」


美紗子が呆れたようにきいた。



「うん」


孝之はカバンを置きながら頷く。



「うん。じゃないでしょう。ちゃんと置き傘をしときなさい」


「いやぁ、下手に置いとくとパクられちゃうじゃん」


孝之は冗談めかして言った。
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