雨が降る日は誰か死ぬ
西山と美咲が出て行った後の教室では、残された20人の生徒が不安な気持ちで過ごしていた。


一時間目の授業が始まっても、先生の話が頭に入ってこない。


みんな上の空だった。

一時間目の授業が終わると、全員が一斉に携帯電話を取り出し、全員が美咲にかける。


繋がったのは美咲と同じバレー部で、寮生活をしている中野美穂の電話だった。



「もしもし美咲?」


電話は繋がったものの、美咲からの返事はなく、ただ泣き声だけが聞こえてくる。


「美咲! ねぇ美咲」


「ぅ、ぅ、ぅう、アズが……」


それだけ言うと、また泣き始める美咲。


それだけで美穂は、すでに梓がこの世にいないことを覚った。

< 277 / 612 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop