雨が降る日は誰か死ぬ
「父が亡くなる直前にねぇ、私だけを病室に呼んで家族とは別の遺言を伝えたの」


華は斜め上を見上げ、過去の記憶を思い起こした。



「それは……毎月1日に竜祀ダムに行って、花を供えてほしいって……。

もちろん私はその理由を聞いたわ。そしたら父は自分の鍵付のカバンの中にその理由があるからと言って、

私にカバンの鍵を渡し、絶対に他の誰にも中を見せないようにと言ったの」



「それがそのカバン?」


亜衣は身を乗り出した。

< 478 / 612 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop