雨が降る日は誰か死ぬ
「あのダムが出来たのは、まだ戦前で、私が生まれるだいぶん前……私の父がまだ十代のときのことなの」


華がゆっくりと喋り始める。



「この辺りは昔から、なぜだか雨の多いところで、よく竜祀川が氾濫して、大きな被害が出ていたらしいの。

そこで当時の政治家の偉い先生と、竜祀川の周辺の村の村長さんたちが集まって、

上流を堰き止めてダム湖を作るっていう計画が持ち上がって、そして工事が始まったの」


カバンの中身が気になったけど、華が話し始めたので、全員黙って話しを聞いた。

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