雨が降る日は誰か死ぬ
「ところが工事は中々進まなかったの」


華が言葉を切って亜衣の顔を見つめた。



「何で?」


亜衣がそれに対して質問をする。



「事故が相次いだのよ。小さな事故から、人が死ぬような大きな事故まで、

毎週のように事故が起こって、そのたびに工事が中断したの。

私のお祖父ちゃん……つまり父の父も、ダム湖の工事で働いていて、

崩落事故に巻き込まれて死んじゃったんだって」


華は亜衣に向かって答えた。



「当時働いていた人たちの中には、竜の逆鱗に触れたんだと言って、恐れをなして逃げ出してしまう人もたくさんいたらしいの」


華はゆっくりみんなの顔を見回しながら喋った。

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