雨が降る日は誰か死ぬ
夜の十一時になって、健作は妹のヨシにばれないようにコッソリと家を抜け出した。


そのまま自宅の前で待っていると、しばらくして幸徳たちが車で迎えに来て、乗り込む。



いよいよ自分も殺人の片棒を担がされるのである。


なぜあのとき、川の上流を見たりしたのだろう。


なぜあのとき、幸兄ちゃんに気がついて、後を追ったのだろう。

何も知らないままでいたかったのに……。


車が第一堰堤の現場事務所に到着すると、山田が倉庫から台車を改造した物を引っ張り出してきた。


どうやらこれであの少女を運ぶらしい。


なるほど、あの狭い道を通りやすいように改造してあるのだ。

健作は思わず感心してしまった。
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