雨が降る日は誰か死ぬ
トヨを隔離小屋に連れ込むと、両手足を縛って猿轡をかませる。


「行くぞ」


山田に促がされて、健作はトヨに手を併せて謝罪してから小屋の外に出た。


これで明日一日、誰の目にも触れないように隠し通して、

明日の深夜、日付が変わると共に、トヨをあの祭壇に捧げれば、全てが終わるのである。


おそらく明日は、近所中がトヨの失踪で大露わになるだろう。


今までも、みんな神隠しだと騒いではいたが、所詮対岸の火事くらいに思っていたはずだ。


ところが身近でそれが起これば、今までのようにはいかない。


問題は妹のヨシである。


ヨシの悲しむ顔を想像して、健作は胸が痛んだ。

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