雨が降る日は誰か死ぬ
健作が自宅に戻ると、ヨシが玄関まで飛び出してくる。


「ただいま」


「お兄ちゃん大変なの」



「え?」



「トヨちゃんがいなくなったの」



妹の泣きそうな顔をみて、健作の胸に痛みが走った。



「どういうこと?」


「夕方までうちに来てたんだけど、うちを出て家に帰るまでにいなくなっちゃったの」


「何だって!」


健作は大袈裟に驚くふりをした。

< 534 / 612 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop