雨が降る日は誰か死ぬ
やがて全ての水がなくなると、床にグッタリと愛が転がり、桃花は呆然と座り込んだ。


愛する人を殺したくはないのだから、人工呼吸とか、心臓マッサージをしなければならないと、頭では分かっているのだ。


なのに、それが無駄なことであると、桃花は覚っていた。



悲しくて悲しくて、どうしようもなく悲しくて……。


なのに、涙が出てこない。


ビショビショの冷えた身体のまま、桃花は愛の身体を抱えおこし、そのまま優しく抱きしめた。

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