雨が降る日は誰か死ぬ

もともと雨が多かったこの地域に、あの祭壇に生贄を捧げ終えて以降、今日に至るまでに降るはずだった雨が、一気に降り注いだかのように、

わずか一週間で、ここ数年の年間の平均降雨量を越え、今尚降り続いているのだ。


四つのダム湖は決壊し、大量の水と土砂が麓の町を襲い、亜衣の祖母である華は今も尚、行方不明となっている。


竜祀川沿いの四つの市では、今日までに死者６９名、行方不明者は４００名にのぼっていた。


倒壊した家屋は７４４棟、床上浸水が７２００棟、床下浸水は４万世帯を越えているだ。


西山の住むアパート周辺も、近くの用水路が氾濫して、今も尚腰の高さまで水没している。


ただ、西山は２階に住んでいるために、特別に被害はなかった。