雨が降る日は誰か死ぬ
「おい! アソコ!」


自衛官の山下久人が指を指す。


腰まで水に浸かって歩きながら、手にはゴムボートを持ち、要救助者を探していたのだ。


というのは建前で、今ではほとんど遺体の捜索と回収である。


若い村西が遺体を抱え上げてゴムボートに乗せた。



「あれ? この人何だか最近っぽくないですか?」



「本当だな。ついさっき死んだばかりみたいだ……」


山下はレインコートの若い男の遺体を見て、不思議そうに呟いた。

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