雨が降る日は誰か死ぬ
「いつになったらうちに帰れるのかなぁ……」


亜衣は避難所になっている中学校の教室の窓から、降り止まぬ雨を見ながら呟く。


最初に奈津が死んでから、まだ一ヶ月も経っていないのに、有り得ないことがあり過ぎて、本当にこれが現実なのか分からなくなるのだ。


突然家から避難所に来て、不便な生活を強いられていて、一番辛いのは、携帯電話がほとんど繋がらなくて使えないことだった。


携帯電話のワンセグテレビだけが、情報を知る唯一の手立てで、学校も休校だから、まだクラスメイト全員の安否の確認も出来ていない。


仲良しの聖良とかすみが無事なのは確認出来たけど、他のクラスメイトのうち、半数とは連絡が取れなくなっているのだ。



それより何より、ダム湖が決壊して麓の町が壊滅的ダメージを受けている映像を、ワンセグテレビで観た。

祖母の華とはあれ以来連絡が取れていないから心配でたまらなかった。

< 603 / 612 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop