サヨナラ 大好きな人【完】
「好きならやり直せば?」
「できることなら…そうしてぇよ」
この時
兄貴の顔を見て、確信できた
あゆさんのことが
本当に好きなんだと
こんなんじゃ
勝てるわけないじゃん
「さっき、あゆさん何したと思う?」
「は?」
「兄貴を刺した男に飛びかかったんだよ」
「胸ぐら掴んで、泣きながら言ってた『刺すならあたしを刺せばいいじゃないっ』って、『來は何もしてないじゃないっ』って」
本当にこの二人は
手がかかる子供だ。
高校生の俺に背中を押されるなんて
「そんだけ兄貴が好きなんだよ」
「次は、兄貴が言えば?」
「無理にきまってんだろ」