イケナイ個別レッスン【TABOO】

「――すみません」
　やはり私にこの世界は場違いだったのかもしれない。憧れだけで飛び込んだ。才能なんてこれっぽっちもなくて――。主宰に迷惑をかけるのなんて嫌だ。

「彼氏が出来たって、本当？」
　頭を下げた私の耳に飛び込んできたのは、場違いな台詞だった。
「は、はい。一か月前に――」
　驚いて顔をあげて謎の質問に真面目に答える。
　主宰の眉間の皺が、いっそう深くなる。そして、不機嫌に私を睨むとぐいと私の手を掴んだ。バランスを崩して主宰の胸の中へと倒れこむ。
　すみません、と、謝る前に耳元で声がした。