lave letter for YOU
棺の前に着いたとき、彼は涙声で私の名前を呼びました。

「隆、由紀ちゃん来てくれたで」って

「良かったな」って

彼の声は驚くほど掠れていました。

きっとたくさん泣いた後だったのでしょう。

それでも私は、隆を見ることができませんでした。

彼は辛抱強く何度も何度も私の名前を呼んで

「隆とちゃんと向き合ってくれ」

「これが最後なんや」

「隆はずっと由紀ちゃんに会いたがってたんや」って

私はどこか意地になって目をギュッとつぶってしまいました。

すると、

「お願いや…」

その声にハッとして、彼を見つめていました。

彼は両目に涙をため、まっすぐに私を見つめていました。

「隆の、最後のわがままなんや。もう一度、死んでからでもいいから由紀に会いたいって。だからちゃんと隆に会うてくれ。名前呼んでやれ。わろてやれ。…お願いやから。」

私は、声をあげて泣きました。声をあげて泣くなんて、小さい頃以来でした。

人がたくさんいるとか

知り合いの前だとかそんなのどうでもいいって思いました。





ただただ隆は死んだのだと心に刻まれました。






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