こっち、向いて?【短編】
「が… 学食…。水に、薬…」
「わかってる」
お互い、
消えそうな声だった。
ばっ、と怜奈が顔を上げて
「そんなことしなくても、
私は、わかってた…
私も、言いたかった…」
一度、下を向いてから
「好きだった…」
「…僕も」
「怜奈と、一緒に
いたかったのに、
話し掛けてくれないから…」
「私が、ちゃんとしてれば
お互い、苦しい思いせずに
済んだのにね」
その日は、2人で帰った。
お互い、
何も言わなかったけど、
笑顔を見せ合いながら。