それでも、愛していいですか。
「なに?」
「……ごめんな」
「なにが?」
「俺が変なことを言ったから……お前は苦しんでる」
ズキンと胸が軋んだ。
「わかっちゃうんだよ、俺、お前が考えてること」
そう言うと、孝太郎は地面を見つめた。
そして、いったん夜空を仰でから奈緒に向き直ると、
「俺は元気。大丈夫。俺は、奈緒が元気なら、それでいいんだから。だから、俺のことは気にするな。な?」
と言って、奈緒の頭をぽんっと叩いた。
精一杯の強がりだとわかった。
その優しさが奈緒の胸を締めつけた。
目頭が熱くなった。
きゅっと唇を結ぶ。
「大丈夫大丈夫」
孝太郎がそう繰り返しながら奈緒の頭をわしゃわしゃと撫でると、奈緒の目からほろりと涙がこぼれ落ちた。