それでも、愛していいですか。
「いい感じのお店だね、ここ。こんなお店知らなかった」
「大学の連れに教えてもらったんだ。女の子が喜びそうなお店なんて、俺、わかんないし」
「わざわざリサーチしてくれたんだ」
「今日はお祝いだからね」
孝太郎は口角を少しあげて、にんまりと笑う。
加菜は頬を少し赤く染めた。
「さ、なに食べる?」
メニューを加菜の前に差し出すと。
「なににしよう。どれもおいしそうだなぁ」
メニューをパラパラとめくりながら、真剣に悩んでいる。
「今日はなんでも好きなもの食べなよ。俺のおごりだから」
「えっ、でも」
「遠慮しないで大丈夫。お祝い、このくらいのことしかできないからさ」
孝太郎は目を細める。
「ありがとう。やったぁ。わ~い、なににしよ~」
加菜はさっきより真剣にメニューを眺めている。
その様子を孝太郎はじっと眺めていた。
加菜は、メニューをめくったかと思えば、また元のページに戻っては見比べ、「どっちにしよう」と悩んでいる。
その様子がかわいくて、孝太郎は微笑んでしまった。