それでも、愛していいですか。
ダメな私
季節は流れ、9月に突入すると、朝晩の空気にはすっかり秋を感じるようになり、セミの鳴き声も、アブラゼミからツクツクボウシに変わっていた。
とりあえず、受験できる試験には全てエントリーしていたので、9月の日曜は毎週どこかの試験会場で悪戦苦闘していた。
最初の試験こそかなり緊張したが、回を重ねるにつれ試験に慣れていき。
手応えを感じたものもあれば、間違いなく不合格だと感じたものもあった。
試験に費やした9月はあっという間に過ぎていき、長かった夏休みはとうとう終わりを告げ、後期課程に突入した頃。
「そ、そうなんだ」
加菜の唐突な告白に、次の言葉がうまく出てこなかった。
孝太郎に告白した、という打ち明け話に胸がずきんとしたからだ。
「奈緒にはちゃんと言わなくちゃって思ってたんだけど……試験が終わってからの方がいいかなって思って……」
そう言うと、加菜はうつむき、黙った。